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学長メッセージ ―「校納金に関する要望書」への回答から―

2020.05.19

学生のみなさまへ

学長メッセージ ―「校納金に関する要望書」への回答から―

2020年5月19日
宮城学院女子大学
学長 末光眞希

 
 宮城学院女子大学の学生の皆さん、如何お過ごしでしょうか。新型コロナウイルスによる病の苦しみ、生活の困窮、感染者や医療従事者への差別を見聞きするにつけ、そして、いまだ皆さんにお会いできない現状に、私はウイルスが憎くて仕方ありません。しかしどうやら私たちは、その憎っくきウイルスと共存する生き方を模索しなければならないようです。
 皆さんご存知のように、全国の学生諸君が学費減免を求めて署名活動を展開しています。本学でも本学学生を中心に630名の署名が集められ、過日、「校納金に関する要望書」と共に私のもとに届けられました。要望書の内容は本学の学生の多くの皆さんが抱いている思いでしょう。そして要望書に対する大学からの返事も、当然ながら、学生の皆さん全員が知りたいことであると思います。そこで要望書に対する返事を、一部修正の上、ここに全学の皆さんに向けて掲載することにしました。新型コロナウイルス問題に対する本学の姿勢と支援策の進捗状況を知るよすがとしていただければ幸いです。
 

 
拝啓

 学長の末光眞希です。学生の皆さんの想いがこもった「校納金に関する要望書」(以下「要望書」)をお読みし、更なる支援にまい進しなければとの決意をあらたにしています。いただいた要望に対する回答を記す前に、まずもって大いなる感謝を申し上げます。さる5月11日、文部科学省から「令和2年度補正予算における私立大学等の授業料減免予算」が発出されました。これはまさに宮城学院を含む全国の私立大学の学生諸氏の声が政府に届いた結果です。私たちもまた日本私立大学連盟などを通して政府に要望を出していました。今回のこの予算は、全国の私立大学に学ぶ学生と大学とが一緒に勝ち取ったものとして、共に喜びたいと思います。
 以下、要望書において回答を求められている事項についてお答えします。
 

1. 国籍や在籍期間を問わず、宮城学院女子大学に通う全学生(留学生、大学院生も含む)の授業料・施設設備資金の一部減額、または何らかの形での一部返還を求めます。

 要望書がここで、家計急変学生ではなく、全学生に対して校納金の一部返還を求めているのは、すべての学生に対して4月に授業が行われず、施設利用ができなかったことを論拠にしているのだと思います。しかし大学が学生から戴いている校納金は、大学が学生に提供する日割計算可能なサービスに対する対価ではなく、在学契約の対価です。したがって、大学がこの論拠に基づいて校納金返還を行うことはありません。本学は学則に基づき、4年間の教育課程を4月1日から翌年3月31日までを1学年とし、全学生の単位修得や資格取得のために授業の運営を計画および実施しています。その中でこれまでも夏休みや冬休みといった休業期間を設けてきましたが、これらに対して校納金の返還を行うことはありませんでした。本年度の本学においては、夏季休業期間を変更して授業を行うことで学生の皆さんが必要とする単位修得や資格取得の機会を提供する予定でいますから、この点は理解いただけると思います。
 しかしたとえそうであっても、新型コロナ被害は入構制限といった措置によりすべての学生に及んでいるのだから、上記の論拠によらずとも、何らかの形で等しく校納金を還元すべきだ、という意見は成り立ちます。ここに至って私たちは、限られた宮城学院の資産をどのように皆さんに分配することがもっとも公平かという問題に突き当たります。私たち宮城学院女子大学が今回の新型コロナウイルス支援を考えるに際して前提としたのは次の2点でした。

1)新型コロナウイルス感染拡大の状況下にあっても、私たちが与え得る最大限の教育を提供すること
2)新型コロナウイルス感染拡大が収束し、再び皆さんをキャンパスに迎え入れる日が来るまで、キャンパスを十全な教学空間として維持すること

さらにこれらの大前提として、宮城学院女子大学を潰さない、ということがあります。これらの前提のもとで、宮城学院女子大学は、新型コロナ困窮学生に対する支援方針として

一人の退学者も出さない

ことを最大限追求することが今の私たちにとってもっとも大切なことだし、もっとも公平なことと考えました。この考えは唯一絶対ではありませんし、完全でもありません。たとえば他大学が行っているようなすべての学生に対する等しい支援策は断念せざるを得ませんでした。それは本学の財力では、すべての学生に有意な支援策を講じることと、本学から退学者を出さない支援策を講じることとは両立できなかったからです。

 前回の質問書(要望書の前に届いた質問書、内容は1と同じ)に対する回答で、本学が他大学のように奨学積立金の切り崩しを行わないのは「将来本当に奨学金を必要とする学生への支援ができなくなるため」と説明しました。この説明に対し、「学生への支援が必要なのは間違いなく『今』です」との鋭い指摘を要望書の中でいただきました。まったくその通りです。そしてその「今」がついにやって来ました。5月11日、文部科学省から「令和2年度補正予算における私立大学等の授業料減免予算について」の事務連絡が届きました。家計が急変した世帯の学生を対象に、大学が授業料を減免した場合、その半額を国が補助するという制度です。要望書が正しく指摘するように、従来の「高等教育就学支援制度」では年間所得380万円以上の中間所得層の家計の学生は、収入のわずかな差異により当該制度の適用を受けることが出来ませんでした。本制度は、この中間所得層の学生を救済するものです。本学は奨学積立金の切り崩しを行わずに財源として持っていたため、直ちにこの制度への参加を決断することができました。ただ今、内規の整備等を行っており、今月中に詳細を発表できると思います。

 しかしそれでもまだ支援から漏れ落ちる困窮学生がいます。アルバイトによって生計を維持してきた学生の皆さんです。本学は今回の文科省からの制度に加え、『10の約束』に記した「新型コロナウイルス感染症に関連した本学独自の経済的支援」としてアルバイト困窮学生の支援を盛り込もうと検討を進めています。

 少なからぬ学生さんが本学の対応のスピード感不足を不満に思っておられたことと思います。私たちは必死に努力して来ましたが、その点を否めません。しかし私たちが国からの制度発足を待ちながら、国の制度が発足した暁には、そこからこぼれ落ちる学生さんを本学独自の方法で救済しようとしてきた考え方は、上記のように間違っていなかったと思っています。仙台の他の私大で4%もの退学者を出す大学もある中、本学の退学率は1~1.5%と低い数値で推移してきました。それが私たちの誇りです。それはおそらく、震災や台風被害で家計が急変した学生の皆さんの「学び続けたい」との思いに対し、私たち教職員が「あきらめさせない」という強い気持ちを持ち、それが本学の多様な奨学金制度や声がけとして学生の皆さんの心に届いてきたからだと思っています。新型コロナウイルスの時代にあっても、私たちはぜひそのような宮城学院女子大学であり続けたいと思います。

 

2. 自宅に十分なネット環境がない学生のためにPCやルータ等のオンライン授業に必要な機器の無償貸与を求めます。

 5月7日から遠隔授業がスタートしました。遠隔授業の開始に際しては、学生の皆さんが現在持っている最低限の通信環境でも授業が受けられるように、UNIPAを利用した学習資料配布型の授業をすべての先生方にお願いしました。これは通信環境を整えることができない、あるいは間に合わなかった学生の皆さんのことを考えてのことです。一方、遠隔授業に備えて、けっして安くはないWiFi環境をすでに整えた学生がいることを私たちは知っています。そのような学生の皆さんは授業の進展に応じて、双方向的な、より高度な授業を早く展開してほしいと切望しておられるに違いありません。現在、大学では5月中に活動制限レベルを順次緩和し、WiFi環境の不十分な学生の皆さんのために大学内情報教室等の開放準備を進めています。時期については感染状況などを検討し、決定します。また、キャンパスのWiFi環境を享受できない学生の皆さんのためにルータやタブレットの貸出しに向けても作業を進めています。

 

3. 「皆さんの大学生活を守るための10の約束」の早急な具体策の施行を求めます。

 「10の約束」の発表後、「校納金の延納期間の延長」を決定し、チェックを入れることができました。経済的支援の約束と,入構が可能になった際の約束4項目が未実施の状況です。入構が可能となった場合の諸行事の約束については,状況を見極めながら,学生の皆さんと相談しながら,スケジュールや内容を決定したいと考えています。

 最後に私の大好きな聖書の言葉(フィリピの信徒への手紙3:13-14)を記して、このご返事を終えたいと思います。

兄弟たち、わたし自身は既に捕らえたとは思っていません。なすべきことはただ一つ、後ろのものを忘れ、前のものに全身を向けつつ、神がキリスト・イエスによって上へ召して、お与えになる賞を得るために、目標を目指してひたすら走ることです。

 
最後まで走り続けることが本学に課せられた責務と思っています。
皆さんの健康が守られますよう、お祈りいたします。
 

敬具

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