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2018年度学位記授与式 学長告辞

2019.03.27

本日ここに、晴れて学士の学位と修士の学位を授与された皆さん、おめでとうございます。宮城学院女子大学を代表して、お祝いを申し上げます。また、ここに至るまで皆さんを支えてこられた保護者の皆様にも、心よりお慶びを申し上げます。
みなさんにとって、大学生活とはどのようなものだったでしょうか。勉学に励んだ日々。サークル活動に熱中した日々。アルバイトにもいそしんだ日々。達成感をもっている人もいれば、そうではない方もおられるかもしれません。人それぞれですから、さまざまな生き方、感じ方があるのは当然なことです。

みなさんが今日という日を迎えられたのは、みなさん自身の努力のたまものであります。しかしそれだけではなく、多くの人たちの支えや手助けがあったからだということを忘れてはなりません。特にみなさんの保護者は、みなさんに深い愛情を抱き、学費と生活費をみなさんのために注いでくださいました。みなさんはそのことを当たり前のように受けとめて大学生活をエンジョイしてきたかもしれませんが、それができたのは、保護者の方々の惜しみない愛情と経済的な支援があったからだということを改めて噛みしめてください。

私たちは、人類として成立する数百万年も前から、親から生を受けて代々を引き継いできました。私たちが今ここに存在するのは、神様の恵みであるとともに、代々の無数の親たちが子どもに愛情を注いで育て、次世代へとつないできてくれたからでした。人間だけではなく、哺乳動物の多くは、我が子が独り立ちするまで、守り育てる、深い愛情をもった存在です。

ここに参列しておられるみなさんの親御さんたちは、あなたが生まれたときの喜びと、あなたが小さいころに、あなたを抱いていたときの腕の感触を、いまも覚えておられることと思います。あの小さかったみなさんが、いまこうして巣立ち、独り立ちして世の中に飛び出そうとしている姿を、深い感慨をもって見ておられると思います。
だからこそ今日は、保護者の方々への感謝の気持ちを、ぜひみなさんから、しっかりと伝えていただきたいと思います。「これまで育てていただいて、ありがとうございました」。この一言で、親御さんをはじめとする保護者の方々の、これまでのご苦労は吹き飛んでしまうと思います。

「ありがとう」とか「ありがとうございます」という言葉は、人と人との関係をこよなく豊かにする魔法のことばです。「ありがとう」と言われて嫌な気持ちになる人は、あまりいないでしょう。

この「ありがとう」という日本語は、「有り難し」という言葉から来ています。これを漢字で書くと、「有る」ことが「難しい」という字になります。「有ることが難しい」という言葉が、どうして「ありがとう」という感謝の言葉になるのでしょうか。
「有り難し」とは本来は、「珍しくて貴重であること」や「めったにないこと」を表わしています。何が珍しくて、何がめったにないのかといえば、人間としてこの世に生まれてくることなのだそうです。ひょっとしたら私たちは、人間ではなく動物や虫や草花になっていたかもしれない。しかしそうではなく、人間として私たちは生を受けた、それ自体が極めて貴重で稀なことだ、ということなのです。

ですので、「有り難きこと」という言葉は、「人間としての有り難き命をいただいた」とか、「有り難きこの人生を生きている」というように、生きていることに感謝するという観念につながっていきます。

それがさらに、自分が生きることを助けてくれている周りの人々に対しても感謝する、ということにつながっていきます。だから私たちは、周りの人たちに、「ありがとう」ということばを発しているのです。

聖書にも、「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい」という言葉があります。
ここで聖書が言っていることは、自分が存在すること、生きていることを、常に神に感謝しなさいという意味です。

きょう皆さんが周りの人たちに、「ありがとうございます」と言うその一言は、「きょうまで私の命を支えてくれてありがとうございます」の意味を含んだものになるということです。
皆さんには、この「ありがとう」という言葉の意味をかみしめて、これからの人生を歩んでいただきたいと思います。「ありがとう」こそ、あなたにこれからの命を与え続けることになるのです。

二〇一一年三月十一日の東日本大震災から八回目の春を迎えました。二万人近くの方々の命が失われましたので、みなさんのなかにも、身近な人を亡くし、深い悲しみを抱いてきた方がおられるのではないでしょうか。また福島第二原発の爆発事故で、ふるさとを失った人がいるかもしれません。被災地全体でみれば、未だに震災や原発事故のダメージから十分に立ち直ることができずにいるといえます。

みなさんは、そうした社会状況のなかでこの四年間を過ごしてきました。被災地の復興や被災者の立ち直りにために、自分が何をすればよいのかということを考え、取り組んできた学生も少なくないと思います。そうした方々を含め、被災地にある大学で四年間、学んできたことを、みなさんのこれからの人生の原点の一つにしていただきたいと思います。

今日は皆さんにとって新しい人生の旅立ちの日であります。これまでの学生時代とは異なり、職業人として、社会人として、そしてやがては家庭人として、さまざまな問題に直面することになると思います。宮城学院で学んだことが、これからのみなさんの人生の礎となり、心の糧となることを願って、私からのお祝いの言葉といたします。
本日は、ご卒業、おめでとうございました。

 

2019年3月20日
宮城学院女子大学
学長 平川 新

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