ミヤガクのことがわかる絶好のチャンス!オープンキャンパスに行こう

児童教育学科教授 豊澤 弘伸

2012.04.09

児童教育学科の豊澤と申します。国語科教育を担当し、ゼミでは、日々、楽しくわかりやすい国語の授業のあり方を模索しています。ゼミ生は皆、「豊かな心を持った研究力のある実践者になる」をモットーに、小学校の教員を目指して努力しています。広い心であらゆるものを受け入れ、鋭く確かな目でそれを見極め、的確な実践につなげていくことのできる教員、これが目標です。この春、2期生が巣立ち、1期・2期ともに10名ほどが正規に採用してもらい、学校現場に出ています。

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さて、今、大学の9月入学が話題になっていますが、先日、「秋入学になるとあのフレーズが使えなくなるね」という声を耳にしました。あのフレーズとは、「満開の桜の下での入学式」。入学式の新入生代表のことばや、新聞やテレビなどの見出しやリードの常套句ですね。これと対をなすのに、「桜のつぼみも膨らんで」というのがあり、今年も多くの卒業式で答辞の冒頭を飾ったことでしょう。どちらもキーワードは「桜(サクラ)」。
 挨拶の枕詞としてだけではなく、古来より、春の訪れを告げ、農作業の開始時期を知らせてくれる意味でも、桜の開花はそれなりの役割を持っていたのではないかと思われます。
そして、明治以降、それまでの桜にかわり、ソメイヨシノが桜の代表になってからは、その意味合いもかなり変化してきたようです。関東以西では、卒業生や転出する同僚を送り出し、新入生や新任者を迎え入れるわずかな期間に咲いているのがソメイヨシノであり、別れの感傷と出会いの期待を演出する絶妙のロケーションを作っていました。私にとっても、年度の切替スイッチであり、これが咲き出すと、何となく落ち着かなくなって何かしら憧れる気持ちが湧いてくるものでした。
 日本気象協会によれば、仙台での平年の満開は、4月16日(今年は20日の予想)で、入学式には満開ではなく、「ほころび始めた桜」の方があっていますね。昨年、関東の小学校に赴任していったゼミ生の一人から「初めて満開の桜の下での入学式を経験しました」という写真付きのメールが送られてきていました。
 このソメイヨシノのもたらした働きは、佐藤俊樹氏の『桜が創った「日本」――ソメイヨシノ 起源への旅』(岩波書店[岩波新書]、2005年)に詳しいので、一読をおすすめします(高校の国語教科書『新版現代文』〈教育出版刊〉にも「ソメイヨシノ革命」として一部が載っています)。そこでは、明治以前に日本人が桜に抱いていた伝統的な美しさ、つまり、長らく継承されてきた桜の美しさに対する理想(であり、実は仮想であったもの)が、ソメイヨシノの登場によって目の前の現実になったことが説かれています。ソメイヨシノの桜花爛漫の咲きぶりが、いつしかイメージの中にあった伝統美を実証し、実景として保証する一方で、それまでの日本の春の記憶を革命的に塗り替えていく。一見、相容れることのできない「伝統」と「革命」が、桜の物語の中で巧みに交差されて展開していくさまは読み応えがあります。
 ところで、私たちのキャンパスは、仙台市青葉区桜ヶ丘にあり、ここにも桜との縁を感じざるを得ないのですが、商売柄、この「桜ヶ丘」という地名が気になり出し、どの位あるのか調べてみました。その結果は、何と122個(か所ではない!)。全国の住所表示を都道府県名から順に拾っていって、最初に「サクラガオカ」が出たら、そこで一つと数えました。桜ヶ丘の後に○丁目とか、東西南北がついてもすべて一つ。したがって、同じ市内に桜ヶ丘南と桜ヶ丘北、桜ヶ丘本町があっても、桜ヶ丘一丁目と二丁目があっても、あわせて一つというぐあいです。なので、地区として何か所かということになれば、もっと大きな数になるでしょう。122のうち、同じ市内のあるものが、8個でしたので、114市町村に桜ヶ丘が存在することになります。
 桜がそうなら他のものは、ということで、松・竹・梅を調べてみました。同様に数えたところ、松ヶ丘(松が丘)は52個(47市町村)、梅ヶ丘(梅が丘)は17個(17市町)。竹ヶ丘(竹が丘)については、タケオカしかなく、タケガオカでは「会津若松市門田町大字黒岩嫋竹ヶ丘」があるものの「嫋-竹ヶ丘」か「嫋竹-ヶ丘」かについては未調査(すみません)。調子にのって、ツツジ、ユリ、そして緑と調べていったところ、つつじヶ丘が11個(10市町)、百合ヶ丘が12個(11市町)、緑ヶ丘が158個(150市町村)という結果になりました。
 惜しくも緑ヶ丘には及びませんでしたが、我が桜ヶ丘は次に倍以上の差をつけ堂々の2位になりました。他に比べて、新しく開発・造成されたところが多いことからも、桜の名に理想の街作りを託した人々の思いを感じざるを得ません。
 宮城学院の桜ヶ丘キャンパスも、新しい仲間を迎える季節になりました。
 新入生の皆さん、ようこそ、理想の学舎へ!

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