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食品栄養学科教授 正木 恭介

2012.07.17

食品栄養学科の正木恭介(まさききょうすけ)です。
生化学,応用栄養学を担当しています。このエッセイでは,女性ならとても気になる「体重」について取り上げることにします。
「最近やせたね!」と声をかけると「ニコッ」と笑顔を返してくれますが,逆に「少し太ったかな」なんて言葉は怖すぎて使えません。「体重」は女性の大きな関心事であることは間違いないと思いますが,一方20~30代の女性の「やせ」が大きな健康問題ともなっています。
そこで,「やせて得すること」,「やせて損すること」,「太って得すること」,「太って損すること」を考えてみることにします。

やせて得すること
1)美しくみえる、かわいくみえる。
2)理想の服を着られるようになる。
3)友達に自慢できる、友達からうらやましがられる。
4)やせるのが成功すると自信がつく。
5)体が軽くて、敏捷性が高まる。跳躍力が高まる。キレがでる。
(太っているひとの場合だけ)
6)慢性疾患(心疾患,糖尿病など)のリスクが下がる。
7)腰や膝などの痛みやけががへる。

やせて損すること
1)体力がおちる。階段,仕事,スポーツ,感染症(防衛体力と行動体力とも低下する)
2)体が冷えやすくなる。
3)(女性のみ)小さな子供が生まれる。
4)(女性のみ)生まれた子供が成人病になりやすくなる。
5)病気だと心配される。
6)「ガリガリ」といわれる。「ツンツン」していると勘違いされる。
7)サイズに合う服や指輪がへる。
8)寿命が短くなる。
9)(女性のみ)生理が止まる。若いのに更年期症状がでる。妊娠できなくなる。
10)骨折しやすくなる。
11)緊急時に飢えやすくなる。
12)美味しい物を沢山食べることができなくなる。(怖くて食べられなくなる)

太って得すること
1) 筋力が高まる。(ゴルフの飛距離が伸びる。相撲や柔道が強くなる。重いものを持ち上げられる。)
2) 骨量が高まる。
3) たくさん食べられる。
4) 声が良くなる。
5) 子供がなつく。
6) 貫禄があると評価される。
7) 寒さに耐えられる。
8) 楽観的になる。

太って損すること
1) 生活習慣病のリスクが高まる。
2) 敏捷性が低下する。(交通事故に合いやすい。)持久力が低下する。バテやすくなる。
3) いびきをかくようになる。
4) 自分に合う既製服がなく,オシャレができなくなる。(以前着ていたドレス・礼服が着られなくなる。)
5) 食費がかさむ。
6) 努力が足りない人間だと評価されてしまう。
7) 「デブ」とからかわれる。
8) 汗をかきやすくなる。
9) バス,電車,飛行機の座席を占領してしまう。(隣の人に不快に思われる。) 

それぞれ10項目ほど上げてみました。損得勘定で生きているわけではありませんが,「痩せて得すること」は当然あります。けれども,それが成功したときには「損すること」も生じている、ということに気づいていない方が多くいるように思います。「太って得すること」もたくさんあります。

「体重は意図的に変えないこと」が一番です。恒常性という言葉を「生物」で習ったと思いますが,体重にも恒常性のシステムがあります。活発に動いた時にはお腹が減るし,その消費したエネルギーを食事で補えたらお腹がいっぱいになったと感じます。この食欲が調節する恒常性のシステムを無視して,無理やり体重を増減させることは,体内に幾つもの歪みが生じることになり,「損すること」につながります。太っている方が意図的に減量した場合,減量しなかった肥満者に比べ,寿命が短縮したことが論文として報告され,注目を浴びました。
夏に向けて「痩せたい」と思っている方はちょっと待ってください。考えなおしてください。

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私達の体の材料と生きていくためのエネルギーは例外なく食物から供給されています。体への食物供給の過不足(食べ過ぎあるいは食べないこと)は必ず体に影響します。食物成分の過不足が体にどのような影響を及ぼすのかを学ぶのが「栄養学」です。

エネルギーや水分のように食物成分の過不足を感覚として捉えることができるものもありますが,大半の栄養素の過不足は感覚として感じることができません。
だから、栄養学の知識や情報を身につけることが皆さんの健康を支える上でとても重要になるわけです。

栄養学って、本当にためになりますね。

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