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日本文学科教授 深澤昌夫

2008.04.10

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みなさん、こんにちは。
日本文学科の深澤昌夫(ふかさわ・まさお)です。
今日は、私が担当している「特殊研究(日本文学)」という授業について紹介します。

といっても、今はまだ新年度がスタートしたばかりなので、ここでご紹介する内容は昨年度のものであることをお断りしておきます。

さて、「特殊研究(日本文学)」は3・4年生向けの一般教育科目です。
学科を問わず、だれでも自由に受講することができます。
だからというわけではありませんが、去年は170名が受講していました。
多いですね~。
ちなみに、おととしはたったの7人(笑)。
それはそれで楽しかったんですけどね。みんなでお茶飲んだりしながら。
それが何でいきなり170!?
って、私も最初はそう思いました。

授業のテーマは「江戸のラブストーリー」。
井原西鶴のアンソロジーを読みます。
古文です。江戸だから。訳はついてますけどね。

切ない恋に身を焦がし、思いあまって江戸の町に火をつけてしまった少女の話とか、
17年で23人もの女性と離婚・再婚を繰り返しながら、なぜか最初の妻が忘れられない男の話とか、
お殿様の寵愛を受けながら権力になびかず、真実の恋を貫いて手討ちにされた小姓(少年)の話とか、

少女の恋あり、大人の恋あり、ボーイズラブあり、何でもあり?
みなさん、たぶん目からウロコです。きっと、江戸を見る目が変わると思います。
でも、イチバン人気は授業冒頭の「恋愛相談コーナー」です(笑)。

授業で大切なのは、やっぱり……学生とのコミュニケーションじゃないでしょうか。
特に大教室での講義っていうのは、どうしても一方通行になりやすいですよね。
だから、学生たちが出席カードに書いてくれる様々な意見や質問(通称「お便り」)はとってもありがたいし、私はそれを読むのが毎回楽しみです。

でも、
それだけではやはり一方通行です。
学生たちの話を聞くと、授業の質問や感想を書いてもそれっきり、という授業が多いようです。その後のフォローが足りないんですね。少なくとも学生たちはそう感じている。

だから、
授業をする。お便りをもらう。
それらをまた教室に投げ返し、次の授業に生かす。
そうしたやりとりのなかで、学生たちが少しずつホンネを語りはじめる。
自分のこと、恋人のこと、友人のこと、家族のこと、
時には「マジかよ!?」みたいなことも、いろいろ書いてきます。
それを授業で紹介すると(もちろん匿名です)、たまたま同じ授業を受けているというだけで、学科も違えば学年も違う、知り合いでも何でもないような人たちから、親身な応援、励まし、アドバイス、様々なリアクションがある。

こうして、「江戸のラブストーリー」を学ぶ授業は、いつしか「宮学生の現在(いま)」を語り合うカウンセリング・ルームになっていました。

ある学生は学期末の感想に、こんなことを書いています。

この授業を通して学んだのは江戸時代に生きた人々の熱いハートそのものだ。授業では自然と自分の恋愛観や人間関係について考えさせられ、最終的に人生観の問題に行き着いた。非常に内容の濃い授業だった。まさか古典の授業で人生について学べるとは思わなかった。
それに、この教室で同世代の人たちの体験や悩みを共有できたことは本当に貴重な経験だった。十人十色。百人いればそれぞれの人生があり、恋があり、悩みがある。私にはとても理解できないようなとんでもない経験をしている人もあれば、何をそんなに悩んでるんだろうと思うようなものもあった。でもそこに時代や世代が違っても変わらないものがある、ということに気がついた。
この授業は専門の教科では教わらないし、教えてくれない、でも本当はみんなが一番教えてほしいと思っていることがらについて学べる、唯一の場所だった。

学生たちは自らの力で学びます。
学ぶ力があります。
私たちはただ、そのお手伝いをするだけです。

最後に、「特殊研究」受講者の作品を紹介させてください。
作者は丸井ひよこさん(ペンネーム)。
冬休みの自由課題として提出されたラブストーリーです。

丸井ひよこ「私の得意科目が物理だった理由」

さあ、今年はどんな出会いが待っているでしょう。
学生たちもドキドキなら、私たちもドキドキです。

ではみなさん、教室でお会いしましょう。

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