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食品栄養学科准教授 大山珠美

2008.11.05

食べ物がおいしい季節になりました。こんにちは。
食品栄養学科 大山珠美です。
食品栄養学科は管理栄養士の養成を行っている学科です。管理栄養士・・・というと食べ物のエネルギーがわかる人、献立を考える人、などとイメージされがちですが、単に食物を管理するのではなく、特定の人の生活活動や身体状況に合わせて食物を使いながら健康管理を行う人なのです。したがって、いつも対象となる“人”がいます。

私は食べ物に関わることが大好きです。食べることはもちろん、珍しいもの、新しいものなど、新たな食物の発見や美味しい料理の作り方を知ったりすることは、私にとって、とてもワクワクすることです。
食物が身体にとって大切なことは言うまでもありませんが、食物は身体的なもの以外にもいろいろな“力”を持っています。

その一つとして、食物は身近あると同時に、人と人とをつなぐ道具でもあり、また人とのつながりを確認する思い出になりやすいように感じます。
私が初めて食べた「きりたんぽ」は小学校の時、家族が揃って「水炊き」に入れてたべました。当時は宅配便などが発達しているわけでなく、○○鍋セット等というものは存在していなく(多分?)、秋田出身の方からいただいたものでした。鍋にいれて食べるようにといわれていたのでしょう、母はいつもの鶏の水炊きにいれ、ポン酢につけて食べました。ポン酢の「きりたんぽ」は、すっぱいご飯であり、決して美味しいものではありませんでした。それ以来、私の家族は全員、「きりたんぽ」は美味しいものではないと決め付けていました。
 年月が過ぎ、ある時に大学で秋田出身の後輩が「きりたんぽ」を作ってくれました。酸っぱくないしょうゆ味の鶏がらスープと「きりたんぽ」はとても相性がよく、おいしく、それからというもの自宅での定番鍋のひとつになっています。不思議とこのような経験は家族が揃っている様子、「きりたんぽ」の説明をしてくれた後輩達の様子が鮮明に思い出されるのです。

以前に栄養指導をした経験のある70歳くらいの男性の方から、突然「あんた達がよく言うように、好き嫌いなく何でも食べないと健康になれないんだよね。あいつも何でも食べてくれればいいんだが。」といわれました。この男性の奥さんは介護状態にあり、日常のことはすべて男性が行っていました。奥さんは魚や野菜があまり好きではないようで、肉料理はとても楽しみにしてくれるのに、野菜はあまり食べてくれないとぼやいていました。男性は偏食が妻の病気の原因の一つと考え、偏食が症状の回復に役立っていないと感じ、妻の喜ぶ顔を楽しみにしながら、同時に妻の健康を気遣いながら悩んでいたのです。笑顔を作るのも食べ物であり、その笑顔をつくるための身体づくりも食べ物なんだと改めて感じたのでした。

2005年に制定した食育基本法の前文では、「様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てる」とあります。一見すると、技術的なものの習得を求めているようにも読めますが、もっともっと奥深い意味が隠されているようにも捉えられます。
改めて「食物の力ってすごい!」と感じるこの頃です。

皆さんも食物に関わった仕事をしてみませんか?

oyama

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