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心理行動科学科教授 佐々木隆之

2009.03.19

音楽の知覚認知心理学というのは,音楽が耳の働きを通してどのように聞こえているかを研究する学問領域です。音楽は誰でも楽しむことできるもので、日常生活に欠くことのできないものであるということに異論はないでしょう。音楽を楽しむために耳の働きを知る必要はまったくないのですが、音楽を作ったり利用したりするときには、耳の働きについて知っておくことが役立つことがあります。逆に、音楽を調べてみると耳の働きをうまく利用して作曲されているものがあったり、耳の働きを意識して実験的に作曲された作品があったりします。「なるほど」と思ったり「へぇ!」と感心したりすることが楽しくていろいろと知りたくなるのです。

090319_0最近、学生にとって身近な音の例としてテレビの中の音を取り上げていて、いろいろなテレビ番組を見ています。テレビ番組では内容を伝えるための重要な要素として音が効果的に使われています。拍手や笑い声を付け加えるという操作は最も一般的で、スタジオで録画しているバラエティ番組には欠くことのできない要素です。技術の進歩によって本当に自然に聞こえるように入れられています。私が子どものころに見たアメリカの「ルーシー・ショー」というコメディ番組で笑い声の追加がすでに使われていたことを思い出しました。テレビ番組では音楽もBGMなどとしてよく使われています。使われる音楽は、番組によって特徴があることに気づきます。これは音響効果を担当するスタッフの好みに依存しているようです。映画音楽が多かったり、クラシック音楽が多かったりするのです。BGMを聴くと担当スタッフの音楽の好みがわかります。「いきなり黄金伝説」という番組の音楽スタッフの好みは私の好みと似ています。音楽的な経験が似ているのだろうと思うと親近感が沸いてきます。

テレビ番組のBGMは時間的な制約もあり、映像の動きと音楽を時間的に一致させる構造的調和という手法よりも、内容を一致させる意味的調和の手法が多用されています。例えば、怖いものが出てくるときには「ジョーズ」のテーマ、冒険的な場面では「インディ・ジョーンズ」、勉強は「大学祝典序曲」というように音楽の象徴的な意味が場面と一致するように選ばれるのです。魚の「鱈(タラ)」をテーマに取り上げた番組では、「サザエさん」や映画音楽の「タラのテーマ」、歌詞に「タラッタラ」が入っている曲をBGMに使うなど、ダジャレで選曲している例もありました。どうしてその音楽なのかを考えるのも面白いものです。

 バラエティ番組を中心に最近多用されている手法は、音声や効果音を字幕で提示するというものです。注意を引く、聞き取りにくい音声を補強する、わかりにくい表現を補足するなどいくつかの目的があると考えられるのですが、BGMのもっていた働きの一部を視覚で表現した手法と解釈できます。ニュースや情報番組では聴覚障がい者のために字幕を使いますが、障がいをもつ人たちがバラエティ番組も楽しめることにつながることはよいことだと思います。

このような観察や分析を通して、身近にある音に注意を向けることから始まり、音や音楽がどのように聞こえているかに興味をもつと、音楽の知覚認知心理学の研究が始まることになります。音楽の知覚認知心理学は、心理行動科学科で勉強することができます。担当は、私、佐々木隆之です。

 

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