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人間文化学科 教授 大平 聡

2018.04.02

「歴史の力」を信じる。私のゼミの学生が中心となり、間もなく145年の歴史に幕を閉じようとしている小学校の閉校記念展覧会の準備を進めている。
2009年に調査を始めて以来、県内15市町で明治にさかのぼる膨大な資料の所在を確認し、日誌を中心に、アジア・太平洋戦争終結までの資料を収集してきた。この成果をどのように生かしていくか。考えるいとまもなく、7年前のあの震災が、解答を与えてくれた。私に学校資料の重要さを教えてくれた最初の調査地、そして恐らく日本でも有数の学校資料を保存する自治体、気仙沼市から見慣れてきた風景が消し去られた。でも…、学校に保存されている資料の中に、学区の歴史が残されていますよ。新たな地域の創造の土台に、津波に消し去られる以前の地域の歴史を生かして下さい。そう考え、展覧会を開いてきた。

2016年度からは、授業でも使い始めている。人間文化学科1年生の入門演習では、1人が1年度分を担当し、記述を読み取る。昨年3月には、その成果をもとに、閉校する気仙沼市立馬籠小学校の閉校記念展を作った。総合コース「東北と日本」では今年度から、昭和初年の東北の実態を伝えるために、貧困と衛生に関する資料を提示している。その1つとして、登米市と気仙沼市から各1校を選んで作製した、1933年度から1935年度の3年分の気象・温度表を配布した。1934年は「やませ」のため、東北地方が大冷害に見舞われた年である。200人弱の受講生の中でただ1人ではあったが、気仙沼で1日早く低温状況が始まっていたことに気付き、「やませ」の影響を読み取った学生がいた。残念、人間文化学科の学生ではなかったが。

今年は、3月1日、気仙沼市小原木公民館で小原木小学校の閉校記念展の展示作業を行う。前日には最終点検を行い、学生は、翌朝の出発に向けて大学に合宿する。「歴史の力」に気付いた学生と共に行う作業は楽しい。

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