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心理行動科学科准教授 木野 和代

2011.09.20

こんにちは。木野和代です。心理行動科学科で感情心理学のゼミを担当しています。

心理行動科学科では2年生から本格的にゼミが始まります。ゼミではまず、ゼミ生たちが感情をどのようにとらえているのかを確かめるために、「人間に感情は必要か」とたずねてみます。するとほとんどが必要だと答えます。その理由は、感情は人間の生活を豊かにしてくれるものだから、です。その一方で、ひどく落ち込んだりして、これに悩まされてしまうくらいなら、感情などない方がいいという意見も、少数ですがあります。どちらも納得できる意見ですね。私が感情心理学を始めたきっかけのひとつも、そんなところにあります。

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2年生のゼミ風景

他者との感情的なコミュニケーションは、相手との関係を親密なものにしますし、関係を続けていくためにも必要なものです。しかし、日常生活で抱く感情は必ずしも肯定的なものばかりではありません。怒りや妬みといった否定的な感情もあります。

こうした否定的な感情を、私たちは相手にも否定的な影響をあたえてしまうものと考えて、できれば気づかれないようにして、隠してしまう傾向がないでしょうか。
しかし、たとえ否定的な感情であったとしても、他者にその感情を伝えることで、お互いの理解が深まり、問題を解決する上で重要なカギとなることもあります。そこで、他者との間に生ずる「怒り」の感情に注目し、それを他者に伝えることがどのような意味をもつのか、またどのような伝え方が望ましいのかなどについて研究してきました。

そんなわけで、今年の4年生が卒業研究で取り組むテーマのなかにも、怒りをテーマにするものがいくつかあります。たとえば、怒りを感じた時にそれを誰かに話すことで、怒りはおさまるのかに関する研究です。もちろん怒りばかりではなく、人前で泣くことについて、笑顔が他者にどんな影響を与えるのか、劣等感をバネに頑張っていくためにはどうしたらいいのか、などゼミ生たちは幅広いテーマの研究に取り組んでいます。皆、日ごろ出会う様々な感情をテーマに、同じゼミの仲間や後輩のゼミ生たちとの意見交換もしながら、研究を進めています。

私自身について話を戻すと、ここ数年、力を入れていることの一つが共感性に関する研究です。心理学で「共感する」というとき、相手と同じような考えや気持ちを抱くというだけでなく、相手の考えや気持ちを相手の立場から理解できるかどうかも重視します。怒りから随分離れたテーマだと思われるかもしれませんが、実はそうでもありません。怒りのやり取りは、怒っている人だけでするわけではありませんよね。当然、相手(怒られている人)がいます。そして、この怒られている人が、相手の怒りに対してどのような反応をするかも、怒りが最終的に良い結果をもたらすかに関わります。ですので、怒っている相手を理解する姿勢が重要だと考え、そこから少し視野を広げて、共感性に関する研究も行っているのです。

さらにこうした関心から、昨年度の「心理行動実践セミナー」では、コミュニケーション力を鍛える実践活動を1年生と行いました。主にカードゲームを利用しましたが、これはコミュニケーションを考える題材のひとつでしかありません。時間内に正解を出すかどうかよりも、ゲームをするときにお互いがどんな影響を及ぼしあっているのかを考えていくこと、そこから自分のコミュニケーションの特徴をとらえ、改善すべき点は次回以降の目標にしていくことが一番大事な部分になります。ですので、課題を終えた後に、お互いの行動からどのようなことを感じていたのかをふり返り、話し合って共有するのです。これは、自分とは違うコミュニケーションの仕方をする人のことを理解する(しようとする)きっかけにもなります。このようなゲームを通して、自分の怒りをコントロールする力やこれをうまく伝える力、さらには相手の怒りを理解する力を身につける、といったことを扱う実践的な研究として、感情心理学のテーマに発展させています。

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「miniココロサイコロin盛岡」
2年生2名がそれぞれ一般の方に研究発表しているところです。

ちなみに、この成果は「ココロサイコロ2010」として仙台駅AERで発表し、その後、オープンキャンパスなどでも発表しました。つい先日(9月11日(土)、12日(日))は、盛岡市で「miniココロサイコロin盛岡」を開催し、大変好評でした。見に来てくださった皆さん、ありがとうございました! これまで参加したことはないけど興味を持ってくださった皆さん&また来たいという皆さん、今年は少しテーマを変えて、震災復旧・復興支援をする人たちに関する研究発表をする予定です。今、1年生と計画・実施中です。詳細な内容は11月23日(祝)の「ココロサイコロ2011」をお楽しみに!

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今年度の1年生と研究計画を立てています

 

 

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